5歳児の引越し業者が来た時の話

 

高校卒業後すぐに僕の一人暮らしが決まったのですが、荷物が多かったので引越し業者に依頼したんですよ。

引越し当日、家のインターホンが鳴ったので扉を開けてみると玄関に5歳くらいの男の子が立ってました。隣の家の子かな?と思い、「初めまして。隣の子?」と聞くと「引越しのお手伝いに来ました」と言われました。

たしかによく見てみると服装も作業着だし、キャップを被ってる。(手裏剣戦隊ニンニンジャーの帽子だったけど)

 

嘘だろ?と思いながらもとりあえず家の中に入れて、「1人じゃ無理だよ」と説得してみたのですが「出来るよ」の一点張り。

本人がそう言うのだから、仕方なく僕と2人で大きいものから運ぶことに。

最初にベッドを運ぼうとしたのですが、当然5歳児には持てるわけもなく、ほぼ僕1人で運びました。

ベッドを運び終わった途端、急に業者の男の子が僕のベッドの上に上がり、ぴょんぴょん飛び始めました。

「初日から苦情くるからやめて」と言いましたが、それでも男の子は満面の笑みを浮かべ、スーパーボールの如く飛び跳ねます。

 

「大きい物はもういいから、そこのダンボールから本取り出して1巻から順番に並べといて」

そう言うと、男の子は「デュクシ」と言いながら手刀でダンボールを開け始めました。

まぁ、カッターで怪我されるよりいいかと思い、何も言わずやらせておきました。

 

大きい物をすべて運び終え、男の子の元へ行くと勝手に僕の漫画を読んでました。

何しに来たんだよと思いながら、「ちょっとちょっと」と言うと、男の子は悪びれた様子も無く「1巻って最後の方と顔全然違うよね」と言いました。確かにそうだけどそんな事はどうでもいい。早く終わらせてくれ。

 

その後も男の子は大きめのダンボールを見つけては中に入ってみたり、「このダンボールは重いからピクミンが10匹は必要」とか1人でボソボソ喋ってました。

 

もう引越しは懲り懲りだー!

(ここで画面が暗転)