さかなクンとタイマン張った時の話
これは割と最近ですね。先月の話なんですけど、タイトルの通りさかなクンと殴り合いの喧嘩をしました。
高3の夏にさかなクンと知り合い、今では2ヶ月に1回のペースで遊ぶ仲になりました。よく2人で釣りに行ったり酒を飲みに行ったりしてたのですが、事件は青天の霹靂の如く突如訪れました。
その日も早朝から釣りをしていたのですが、その日は魚が全然釣れず、どこか別の場所に遊びに行こうという話に。
僕は動物園に行きたいと言ったのですが、彼は「僕は水族館がいいー!」と言って来たんですよ。
僕「いやいや、釣りと被っとるがな」
さかなクン「けど今日はまだ1匹も魚見てないよ」
僕「毎日魚見ないと死ぬ病気なんか?」
さかなクン「死んでしまうかもしれない」
僕「じゃあ見てこい!!!」
段々腹が立ってきた僕は、さかなクンに蹴りを入れて海に落としてしまいました。
陸に上がってきたさかなクンは、海の冷たさで顔が真っ青になりながらも、怒りで徐々に顔が赤くなっていきました。最終的に色が混ざって紫色になってました。
さかなクン「ふざけんじゃねーぞボケェ!」
あのふざけた魚の帽子を被りながらも、普段の高い声を忘れ、地声の低い声で僕に怒ってきました。
僕「もういい!何がさかなクンだ!呼び捨てで呼んでやるからな!さかな!ウォイ!さかな!」
さかなクン「お前、本気で俺を怒らせたな」
蚊の鳴くような小さな声でそう呟いたと思うと、突如僕のボディーめがけて肘打ちをしてきました。
僕「グフッ、クッ...ゲホッゲホッ...!血...!?」
さかなクン「俺の頭の上に乗ってる魚はハコフグと言ってな、皮膚にパフトキシンという毒を持ってるんだ」
僕「クッ...オラァ!!」
すかさず僕はさかなクンの顔面を殴りました。
僕「なに...効いてない...!?」
さかなクン「ふふふふふ....ハコフグは骨板と呼ばれる硬い鱗で覆われている。鋼のボディーなのだよ」
さかなクン「モードチェンジ!」
そう叫びながら頭の帽子を捨て、サメの帽子を被りました。
さかなクン「残念だったな...。シャークモードはさっきより凶暴で俺にもパワーのコントロールが出来ないんだ」
そう言うとさかなクンは鋭いキバで僕に噛み付いて来ました。
僕「グッ....!テ、テメェ....!」
さかなクン「モードチェンジ!」
そう叫び、再び帽子を取ろうとしてるところに、すかさず僕は蹴りを入れました。
さかなクン「ギョギョッ!!」
僕「その帽子がなきゃ何も出来ねぇみたいだな...」
さかなクン「ギョメンナサイ!ギョメンナサイ!」
僕「吹っ飛べオラァ!!!」
僕は力任せにさかなクンを殴り、彼は見えなくなるくらい遠くに吹っ飛んでいきました。
僕「ふっ、トビウオモードか?」
僕は海に背を向け、ポケットから取り出したタバコに火をつけた。
荒れた波の音は心地良く、どこか寂し気だった。雲の隙間から差し込んだ太陽の光が海に反射し、水面がキラキラと光っていた。涙で景色が滲み、より一層視界が、いや、世界が綺麗に見えた。
いつか俺も、この海のように広い心を持てたらまたお前と釣りがしたい。
その時吹いた一陣の風が、彼からの返事のような気がして嬉しくなった。
完