犬と入れ替わった時の話
いきなりですけど、僕って家の中を四つん這いで歩く癖があるんですよ。犬みたいに「へっへっへっへっへ」って呼吸しながら。別に脅されてやってるわけじゃないですよ。自らの意思です。
当時の僕は実家暮らしで、家でミニチュアダックスフンドを飼ってたんですよ。まぁ、ミニチュアというのも名ばかりで、実際は軽自動車くらいのサイズでした。
僕は「ただいまー」と、玄関の扉を開けた瞬間から四つん這いモード開始なのですが、一歩目でミニチュアダックスフンドと激突したんですよ。まだ犬の呼吸もマネし始めたばっかりだったので、
「ヘッ、」ドン!
って感じでした。犬も僕も「ギャン!」と鳴きました。先ほども言いましたが、結構なスピードを出した軽自動車サイズの犬と衝突したんですから、室内で交通事故に遭ったようなもんです。
「いてて...バッキャーロー!どこ見てんだ!」と、Dr.スランプに出て来るペンギン村の警察官みたいなセリフを言おうとしたのですが、何故か声が出ません。
そして犬の方を見ると、何故か目の前に僕が居るんですよ。鏡なんてこんな所にあったかなぁと思いながら自分の体を見てみると、体毛がビッシリ生えてました。
そこで僕たちの体が入れ替わったことに気づき、めちゃくちゃ焦りました。修学旅行の時に、空港で搭乗券を失くした時くらい焦りました(これは本当松)
このままじゃ学校にも行けません。
犬の格好のまま行った所で誰も丸谷だと認識する筈もなく、撫で撫でされて終わりです。
結局その日はどうする事も出来ず、次の日になりました。
仕方ないので犬に制服を着せ、学校に行かせる事にしました。
中身は犬ですが、見た目は人間なので変な事さえしなければ大丈夫です。
しかし僕の願いも虚しく、外に出た2秒後に四つん這いで電柱の方へ猛ダッシュしてしまいました。
「違ーーう!!四つん這いは室内だけだ!!」(一般人は室内でも四つん這いはしないが)
さらに電柱に小便をし始めました。ズボンを履いたまま。もう既に僕は戦意喪失でした。これ以上変な事をされては困ると思い、付いていく事にしました。
何とか学校に着き、席に座りました。
あとは放課後まで大人しくしてくれれば何とかミッションクリアです。
友人「よぉ、丸谷」
丸谷「ワン」
友人「おーーーい!みんな来てくれ!!コイツ犬だ!!」
終わりました。ニューレコードです。早すぎる。
その後も教室でウンコをして女子達に悲鳴をあげさせたり、昼休みにクラスメイトの弁当をガブガブ食うし、やりたい放題でした。
実は今でも入れ替わったままです。